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川内川あらし
​発生のメカニズム
Mechanism of phenomena

川内川

川内川は、その源を熊本県球磨郡あさぎり町の白髪岳(標高 約1417メートル)から羽月川、隈之城川等の支川を合わせ川内平野を貫流し薩摩灘へ注ぐ幹川流路延長約137キロ、流域面積 約1600平方キロメートルを誇る、筑後川についで九州では2番目に大きい一級河川です。​

江戸時代より流域に豊富な水と魚などの水産資源をもたらし、今も昔も人々の生活になくてはならない川となっています。

それと同時に、水害等も度々発生し、自然の猛威をまざまざと見せつける一面もあります。

1966年昭和41年)には河口から51キロの位置に鶴田ダムが竣工し、その後様々な洪水対策が施されてきましたが、大きくうねるような河川形状と狭窄部の多い地形のため、近年も大きな水害に見舞われたことがありました。

​「川内川あらし」は、その特徴的な地形とある特定の気象条件が重なった時に起きる非常に珍しい現象です。

川内川あらしのメカニズム

Mechanism of Sendaigawa Arashi

晩秋から初春にかけての寒気期、川内川流域の内陸部では、晴れて風が弱く冷え込んだ朝に霧がよく発生します。この霧が川内川に沿ってゆっくりと下流に流れ出します。薩摩川内市街地付近では平地が広がることから霧も広がり、さらにゆっくりとした流れとなります。しかし市街地から下流は川の両側が次第に山に挟まれていきます。このため霧は次第に狭い場所に集まり、流れも次第に早まります。そして河口付近は川の両側が山に挟まれたさらに狭い場所(=狭窄部・きょうさくぶ)にあたることから、霧の流れが一段と速まるのです。このことが霧を伴う嵐のような強風、いわゆる「川内川あらし」をもたらす原因と考えられます。また霧は冷たい空気を伴っていることから、暖かい海水と混じる河口付近では蒸発霧(=けあらし)が発生し、そのけあらしは河口から数キロメートルにわたって扇状に海に広がることもあります。川内川河口付近での荒々しい霧の競演とはうらはらに、直線距離で約10キロメートルしか離れていない薩摩川内市街地ではほぼ無風の穏やかな朝をむかえているという対比は、非常に興味深いものがあります。

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